演技指導メモ:雨上がりには好きだといって

Aug 16, 2022

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今週末、8月20日〜21日が本番の「青の素」の現場では、演技指導っぽいことを買って出ています。

主にインプロで得た知識や場づくりの仕方、自身の経験、目の前で起こっている困りごとを観察する力、それらを総動員して、なるべく効果的なゲームを提案しようとしてます。
ただ、演技指導に取れる時間は確保されているわけではなく(当たり前か)、必要そうなところで隙間を見つけて実施してきました。創作の現場で指導を実践するという貴重な経験をさせてもらいました。

つまり、演技面に関わったからには、その責任は私にあるという、、、
本番、乞うご期待!

実施してきたことを思い出せる限りメモしておきます。
起こった事象に対して、どうアプローチしたか。うまくいったかどうかは正直わからないけど、少なくとも多分、楽しかったと思う。

事象:すぐ言うべきセリフがすぐ出てこない

アプローチ1

暗記していない、というわけではなく、「すぐ返す」ということに身体が慣れていない状態にあると、観察や対話を通して推測した。
セリフを正しく言うのではなく、感情によって出てしまう声(あー、とか、おー、とか、うわー、とか。エモーショナルサウンドとも言うか)を許容するようなワークを提案した。
稽古場では他のシーンの稽古が行われていたので、隅っこの方で。

アプローチ2

役としての反応、感情の整理の処理に時間がかかり、セリフが出てくるのが後になってしまう。
役として本当に時間がかかる、というよりも、役者の処理能力限界で遅れてしまい、会話のテンポが悪くなる。
処理能力限界を拡張するため、マルチタスクを提案。まずは私がポーズをとり、それを真似してもらうのを繰り返した。
その後、私のポーズを一回遅れで真似してもらうようにした。つまり、以下のような進み方。

・私:ポーズA、俳優:何もしない
→ 私:ポーズB、俳優:ポーズA
→ 私:ポーズC、俳優:ポーズB…

これも継続的にやらないと意味ないかもしれないが、まずは「覚える」「真似する」のマルチタスクを体験してもらった。これも隅っこの方で。

アプローチ3

マルチタスクの別アプローチ。
10名程度の俳優が輪になって立ち、俳優から俳優へ、名前を呼び合う。
この際、一度呼ばれた俳優は二度と呼ばれない(要は「一筆書き」)。
これと並行し、別の一筆書きで好きな色を飛ばし合う。まあ、よくあるアレです。
これはさすがに稽古の時間を少しもらって実施。5分ぐらい。

アプローチ4

エネルギーのやり取りの感覚を鍛えた。
役としてロジカルに、「こう言われるから、こう思って、こうする」ということは十分に考えられているようだったが、役者同士のエネルギーのやり取りを体験してもらうことによってライブ感をさらに上げることを目的とした。
輪になって立ち、声と動きで作ったエネルギーを順次回していく。
最初はもらったエネルギーをそのままコピーし次の人に回す。
この時、自分がもらったと感じたエネルギーであるため、正確に同じではなくて良い。
次に、自分がもらって、自分が反応したエネルギーを次の人に回すこととした。
これは3分ぐらい。えらい盛り上がる。

アプローチ5

なんでもありしりとり。
基本、しりとりだが、しりとりになっていなくても「ん」がついても良い。
とにかく続ける。
これは、「正しいことを言わなければならない」という検閲を外すために採用。
途中からエネルギーのやり取りがおもしろくなってきたため、アプローチ4に移行した。

事象:架空のメシが食えない

アプローチ1

架空のメシを自分だけで作るとだいぶ孤独で辛いかなと思ったので、俳優複数人で1人分のメシがどんなものかを出し合い、ある程度できたところで次の人のメシを作る。
それを食べてみる。意外と想像から欠落した部分がいっぱいある、という経験をしてもらったようにも思うし、丁寧にやればたとえ多少欠落したところで興味深く見れるということが分かってもらえた、かもしれない。
この訓練に限らず、基本、あまり解釈は私から出さずに俳優にアウトプットしてもらった。
自分が感じたものを言語化してもらうのが、最も印象づけられるだろうと思っている。
私の発言の内容と、俳優が感じたものが異なっている、っていうのもいいかもしれないが、特に相手は学生なので、私の発言が「通ってしまう」ことを恐れた。

アプローチ2

アプローチ1で作ったメシをみんなで食べてもらう。
シチュエーションとしては、劇中で付き合うことになった2人の後日談。
事情を知る全員でファミレスでご飯。架空のメシを丁寧に食うっていうことの難しさを体験してもらえたと思う。

事象:強い拒絶のセリフが出せない

俳優本人に、日常生活で強く拒絶した経験があればそこから引っ張れるのだが、そういう経験は記憶にないそうだ。ということで以下2つのアプローチ。

アプローチ1

架空の物体が迫るので反射的に身体で拒絶する。
壁、ムカデ、スズメバチ、スズメバチ5匹、などでやってみました。
とにかく「嫌だ!」という感情と身体がリンクすることを期待してやりました。

アプローチ2

獰猛な猫に食われそうになる友人を助ける(猫を拒絶する)。
そういうシーンを最初から用意していたわけではないですが、卒業旅行のシーンから、何らかの強い拒絶が起こるような方向にディレクションしていって、そういうシーンになりました。

事象:セリフが聞こえない(声量が足りない)

アプローチ1

鴻上尚史さんの「発声と身体のレッスン」をオススメした(もっとも効果的かもしれない)。
書いてあることの一部を実践した。

アプローチ2

俳優からなるべく遠くに立ち、セリフで聞こえづらくなる単語の最初の子音、もしくは最初の母音を私に飛ばすようにお願いする。

・・・ほかにもいろいろあったと思うが、とりあえずここまで。

書いてて思うが、本当に貴重な経験をさせてもらった。
現場で、より良い演技をするために楽しく効果的に取り組んでもらうという、簡単ではなく考えてる時間も取れない中で、かなり積極的に手を打てたのではないかと思っている。
そして、何より、私の提案に対して真剣にポジティブに受け止めてくれたみんなのおかげで成立した。

幸運。それに尽きる。
ともかく、忘れないように書き留めておきたくなる、貴重な経験でした。

<ご予約はこちら! まだ私の出演する8月編が余裕あり!>
https://forms.gle/uyyLrnCnF3mCfLPDA


【空席情報】8月16日22時時点
青の素 第7回公演「雨上がりには好きだといって」
vol.6 8月編『オリキュレールの糸』
vol.10 12月編『レインディアの鼻』

20日(土)
13:00(8月編) ○
17:00(12月編) △

21日(日)
13:00(12月編) 残8
16:00(8月編) ○

★観劇予約はこちら★
https://forms.gle/uyyLrnCnF3mCfLPDA


━━━━━━━━━━━━━━━
青の素第7回公演

『雨上がりには好きだといって』
これは、虹を待つ人たちの物語。
雨上がりなんて美しいものじゃない。
雲はかかったままで、青空なんか見えない。
虹が架かるなんて奇跡に等しい。
ただ雨が上がっただけ。

降り続いていた雨が止んで、これからやがて雲が切れて、青空が広がるだろうって予感がするだけ。雨上がりって、それだけ。
時は来た。さぁどうする。キミはまだなにもしていない。
走り出せ。輝きを放て。キミが太陽になるんだ。

待っていたのは雨上がりじゃなくて、キミのその一歩。

【青の素とは】
虹の素がプロデュースを行い、学生が主体となりイチから公演を行う事を目標として活動しています。企画・運営から公演までをトータルで行う演劇プロジェクト。

【雨上がりには好きだといってシリーズとは】
高校生が演劇部等で上演できる60分の学生モノの作品を作ろうと、2013年より構想スタート。
「相合傘」をモチーフに、「あいてのしあわせ」を考える。
雨を止ませることはできないけれど、雨の中でどう楽しんで過ごすかを、横浜にある架空の高校「横南高校」を舞台に描く、連作青春群像劇。
季節感を大切にした、月ごとの作品を揃えていきます。

【会場】
ラゾーナ川崎プラザソル

・アクセス
JR川崎駅直結徒歩5分 ラゾーナ川崎プラザ5F
http://www.plazasol.jp/map.html

・ラゾーナ川崎プラザソル オフィシャルサイト
http://www.plazasol.jp

【タイムテーブル】
2022年8月20日(土) ◇13:00~/◆17:00~
21日(日) ◆13:00~/◇16:00~
※◇は『オリキュレールの糸』、◆は『レインディアの鼻』を上演。
※開場は開演の30分前。受付開始は40分前。
※上演時間は約1時間 (途中休憩なし)

【チケット】
一般:2,000円
U-22:1500円
高校生以下:1000円
※日時指定、全席自由

【チケット予約方法】
フォームにアクセスし、必要事項をご記入ください
https://forms.gle/uyyLrnCnF3mCfLPDA

【出演】
『オリキュレールの糸』(vol.6 ~8月編~)
それは、女の子なら誰もがときめく夢のような恋の憧れ
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
秋山珠羽沙 遠藤由実(虹の素) 大橋沙耶 中村陽代里 蓬莱蓬 松本碩 実優 村上透威 / 中野直重(中野直重興業) 猪熊竜久馬(虹の素)

『レインディアの鼻』(vol.10 ~12月編~)
それは、みんなと違うとうつむいていた ピカピカ光る優しい誇り
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
五十嵐蒼 石原空 岩﨑理那 岡田海南 佐藤晴伽 里部あずみ(虹の素) 白川さくら 伊達悠真 成田詩恩 西村彩那 日向ひなの(虹の素教育部) 守倉紡(虹の素) 横山葵子

【スタッフ】
大川葵 陽太郎
脚本:桜木想香
演出:猪熊竜久馬(虹の素)/山田大志(虹の素教育部)
舞台監督:にしわきまさと
照明:田中稔彦(ひとにまかせて)
照明操作:青の素学生スタッフ
音響:斎藤裕喜(Quèbec)
音響操作:青の素学生スタッフ
イラスト:玉谷こゆき
宣伝美術:塩見瑠璃子
制作:樹なみ(虹の素)
主催:芸術によるまちづくり・かわさき2022実行委員会/川崎市
共催:公益財団法人川崎市文化財団/川崎インキュベーター
後援:川崎市教育委員会
企画製作:虹の素/株式会社エイチ・アンド・ビースタッフ
2022年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業

【問い合わせ】
Mail: ao@nijinomoto.com
Twitter:@aono_moto
https://mobile.twitter.com/aono_moto/
Instagram:@aono_moto
https://www.instagram.com/aono_moto/
虹の素
https://www.nijinomoto.com/
https://ameblo.jp/element-of-rainbow
青の素稽古ブログ(キャスト・スタッフが毎稽古ごとに日替わりで書いています
https://ameblo.jp/element-of-rainbow/theme-10095921549.html

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