読書感想文:急に具合が悪くなる

Oct 27, 2020

読書感想文です。中野視点でのメモ。

これ↓を読みました。合計で4時間程度で読めました。

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急に具合が悪くなる [ 宮野真生子 ]
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概要

  • タイトル
    • 「急に具合が悪くなる」
  • 著者
    • 宮野真生子, 磯野真穂
  • 出版社
    • 晶文社

なんで読もうと思ったか

「死」について考えようと思って、グリーフケアに詳しい友人に紹介されたから。

なんで「死」について考えようと思ったか、というと、知人のWebセミナーで影響を受けたから。

→そのWebセミナー:自分の興味を仕事にする生き方・働き方

昔、「Body Workers」というグループ(なつかしい)で意見交換してたときの知人で、なんだかすごいことをいっぱいやっている(浅い表現だ、、、)人だなと思っていて、久々に顔が見れると思ってエントリーした。

無料で、すごくエキサイティングなセミナーだった。ご自身の歴史から、リーダーシップから、世界的に有名かつ高額なカンファレンスにお金がない状態で突撃した話とか、ネルソンマンデラさん、スーチーさん、いろんな話が聞けた。そこで出てきた「生きることを考えるなら、死について考えてはどうか」という意見に、なるほどなと思った。

父親がガンで入院していたときや、息子が生後2週間で入院したときはさすがに考えたが、死について考えるというより、考えないようにしていたというほうが大きい気がする。

ということで「死」について詳しい(というと変だが)友人に連絡し、最初に紹介してもらったのがこの本。

どんな本だったか

宮野さんという哲学者と磯野さんという人類学者の間で交わされる往復書簡のやりとりを本にしたもの。

宮野さんはガンを患い、転移があるという状態で、磯野さんと往復書簡をやりとりする。

約束とは、選択・決断・責任とは、偶然とは、様々な話題について考えを伝え合っていた。

【内容情報】(「BOOK」データベースより) もし、あなたが重病に罹り、残り僅かの命と言われたら、どのように死と向き合い、人生を歩みますか?もし、あなたが死に向き合う人と出会ったら、あなたはその人と何を語り、どんな関係を築きますか?がんの転移を経験しながら生き抜く哲学者と、臨床現場の調査を積み重ねた人類学者が、死と生、別れと出会い、そして出会いを新たな始まりに変えることを巡り、20年の学問キャリアと互いの人生を賭けて交わした20通の往復書簡。

どう感じたか

読みっぱなしにはできないな、と思った。きっと読み返す時間もないんだろうけど、読み返す時が来そうな気がする。

宮野さんは病状が悪化していくのだが、それを無視もせず、形式的な心配もせず、ただそれに対してどういう手掛かりがあり、どう展開し、爆発させていくかという言葉のやり取りに興味を持った。踏み込んではいけなさそうな領域に、文章として、予防線を張りすぎることなく、敬意と知性と情熱をもって踏み込んでいくとこういう言葉になるのか、と思った。

Kindleで読んだのだが、ハイライトした文章のひとつはこれ。

「自分の人生に責任などとれない、というと顰蹙を買いそうです。とくに現代社会は、未来を予測し、計画し、リスク管理をして人に迷惑をかけず、責任を明確にして、自分の人生は自分で形作って片を付けることが理想的とされているのですから。」

でも、究極的に責任が取れることなんてないんじゃないか、と言っているように思う。そして、そのとおりだと思う。

そして、自分の意志、偶然、必然についても考えられた。

19歳から23歳ぐらいまで、宇宙開闢の時点で(もっと前かもしれないが)、それ以降のすべての事象は決定されているので、人間の意志なんてなんぼのもんじゃ、と考えていた。生きる意味とか考えるだけ無駄じゃん、みたいな。きっと似たようなことを考えている人はいっぱい居て、それぞれの答えを出しているんだろう。バイト先(しゃぶしゃぶ屋)でそんなことを考えてたら、野菜を盛るのが遅すぎて超怒られた。とにかく目の前の野菜を盛ればいいじゃないか、と思った(それを元にした脚本が「24の野菜」)。

偶然とは、人が人として意志を持っていることがあって初めて起こりえるもの、と解釈した。つまり、意志があってよいのだ、オモローを生み出したいと思って生きていていいのだと、ぼんやりと教えてくれたように思う。

これを半分ぐらい読んだ時点で、本を紹介してくれた友人とZOOMで話した。「死んだことがある人はいないので、死は何かって誰にも答えられない」という言葉がとても印象的だった。死とは何か、という問いに正解を探していたので、んなものはないのだ、と思った。

この本を読んだから、今ある生に感謝して、日々を生きよう、という劇的な変化があったわけではない。人生は一度きりなので、やりたいことをやるんだ! という熱が湧いてきたわけでもない。

ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ前向きに、放棄していた考え事を考えてもいいのかなと思った。あと、ティム・インゴルドさんの「ラインズ」の紹介があって、移動時間での退屈さはこれから少し減るだろうなと思った。


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