受講しました:デレク&ミチワークショップ

Feb 18, 2020

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(左から中野、デレク、ミチ)

→Meegwai(デレク&ミチ公式ホームページというか、プロダクションのページ)

→Meegwai Facebookページ

受講してきました。

「英語で演劇ワークショップを受ける」ということに魅力を感じたという、ミーハーな動機だが、実際受けてみて本当に良かったと思います。

本を読むだけでは分からない、どういう文脈でどういうことをやればどういう感じ方をされ、フィードバックをされるのかということを体験できました。 世界で活躍するインプロバイザーが大切にしていることを知って、かつ直接質問までできるという、いい機会でした。

メニューと振り返り

メモを一切とらなかったので記憶頼りになるが、覚えている限りを書き記します。
その場に居た人で、記憶と違ったら教えてください。

同時通訳はしぶしぶがやってくれました。ありがたい。
会社では英語の会議とかよくやるが、ビジネス用語と演劇用語では使うものが違いすぎるしスピードも早かったので、正直いって通訳なしだとあんまりわからなかった。
インプロの本を少し翻訳したことがあるが、それでもやっぱり難しかった。通訳ありがたかった。

導入

とにかく舞台エリアは特別なものである。講師のものを除いて、私物はすべて舞台エリアから撤去するよう、指示があった。舞台エリアは安全であり、外でどんな人間であろうと、今ここで起こったことは今ここだけのことである。そして我々全員にはそれを受け入れる力がある。そういったミチの宣言から始まった。

Connection, Painting, Characterの3要素をやる、というデレクの宣言。
演劇の講師はすごく怖い人が来るのかと思いきや、愛に溢れた、何をやってもいいんだと思わせてくれる、そんなキャラクターだった。

Brain Damp

最初のワーク。勝手に名付けた。
脳内にあるものを書き出す。パソコンでいうメモリダンプのようなワーク。

おそらく10分以上、リラックスした姿勢で、脳内にあるものすべてを言語化する。筆が止まってはいけない。とにかく書き続ける。なんでもいいし、ロジカルでなくていい。
「後で誰かに共有することは一切ない」ということだったので、本当に脳内ダンプをした。
ロジカルさは一切ないので、謎の言葉、謎の絵がどっと出てきた。
10分ぐらい経ってくると「自動筆記」モードになってきて、謎のポエムが出てきた。
自分で読み返してあまりにもおもしろかったのでTwitterに投稿した。

投稿して気づいたが、意味がわからない。
でも干しがきのくだりなんか最高だと思ってる。

認知療法、というのか、「一度言語化した心配事は、すでに考え済みであるため、心配の度合いが下がる」ということをカリスマ整体師に言われたことがあるが、そういうものかもしれない。

自己紹介と21

円陣となり、自分の名前と、なぜここに来たかを端的に宣言した。
デレクが「すまん、全員の名前を覚えるのは無理だ」と言ったそばから、ミチが全員覚えようとして、そして最終的に成功するという、愛したい瞬間が起こった。

全員の紹介が終わった後、腰骨の幅に足を開き、足を平行にし、背骨や腰に負担をかけすぎないように頭を吊られ、膝を緩めて立つという、マインドフルネスの準備のようなことをした。
そして全員が中央を見て、たけのこニョッキのようなルールで21までカウントアップした。
何度も失敗したが、時間をかけて21まで達成。

「21」をとても言える気にはなれなかった。自分がミスしたらみんなのがんばりが無駄になってしまう。
自分の勇気のなさと、勇気ある状態になりたがっているということがわかった。

フォーカスまわし

よくあるフォーカス回しを、カテゴリー5つでやってみた。(好きな食べ物、死体の隠し場所、天気の種類、簡単な音と動き、場所入れ替え)
15人程度で、カテゴリー14個でも回せるそうだ。(World Record、と言っていた)。 場所入れ替えの時点で絶望的な雰囲気になったが、それでも、落ち着いてやればできる。
フォーカスを渡してくれる人を信頼していれば、フォーカスを渡すことに集中できるな、と感じた。

インプロシーンをやっているときの感覚はコレだ、とのこと。
相手に伝えることに集中していないといけないが、伝えられることにも集中しないといけない。
まるで怯えたパンサーだ、と。
ハンティングするし、ハンターに撃たれるかもしれない。
そんな状態なんだよ、と。

1本の棒を、2名で、指一本で保持。
喋ることなしに、棒のみでコミュニケーションをとりながら動き回る。
どこまで遊べるか、冒険できるか。

だんだん、2名1組から、二人三脚、三人四脚のようになり、最終的には全員がつながる。

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不思議な感覚で、自分が主役になって回してやろうとしても成り立たないし、ただされるがままになっているというわけでもない。
対応するのに必死だし、誰かが遊びポイントを見つけてエネルギーが上がると、自分も遊びポイントを見つけたくなってしまう。

こういう状態でシーンに居られるのも幸せなことだな、と感じた。

Painting

シーンの装飾。
よくあるインプロシーンとして、2人の人間が舞台上に出てきて何かを話し、去っていくというものがある。
これをイレブン(11。二人の人間を棒に見立てた)と呼んでいる。
あんまり興味深くないよね、という主張。
もっと深みを、カラーを出して欲しい、と。

インプロバイザーはLazy(怠け者)である。
シーンに何があるのかを作っておくと、シーン中に場所を作る必要がなくてラクでしょ、とのことだった。

実際、キッチンや、ミステリアスなおばあちゃんの部屋、自然食品屋などを作って、その上でシーンが行われると厚みのあるシーンになる。
部屋を作る作業そのものを観客と共有しているということもあるのだと思う。

昼食

財布を忘れたので、どうしようかと悩み、うつみくんに金を貸してくれと頼んでいっしょに食事に行った。 最近どうなの、とか、今度のインプロの未来を語るやつ楽しみだね、とか、仕事の話とか、すごく充実した時間だった。

刺身定食がおいしかった。 生卵と海苔とコーヒーは自由に食べてよかった。 うつみくんは厚焼き卵が好きだそうだ。

クレジットカードが使えたので、うつみくんに金を借りずに済んだ。むしろ私がまとめて払ったので、うつみくん分の現金を手に入れた。

再開

お腹いっぱいだ、とみんな言ってた中で、ノイさんだけが眠くならないようにと昼飯を軽く済ませていたということでスゲエと思った。

デレクは「男性は、その場を支配する傾向にあり、女性の発言が失われる傾向にある」と話した。たしかに、男性の発言数の方が圧倒的に多かった。私の含め。
この話の後、午前中に発言が多かった人はそれを控え、発言量のバランスが取れてきたように思う。

キャラクターづくり:歩きマネ

半分の人数にウォーキングをさせ、観客は一人を決めて歩き方を観察、その後、歩き方をコピーして歩いてみる。
特徴をとらえた歩き方をしてみて、その特徴を少し大げさにすることで、新しいキャラクターを生まれさせる。

キャラクターができていく過程、できたキャラクター、いずれも非常に興味深かった。
笑いがいっぱい起こったのは、いわゆる「モノマネ」のおもしろさなのかなと思った。
モノマネは、似ている・似ていないもあるが、コピー対象のキャラクターへの愛がおもしろさを作っているのではないかと感じた。
必死で観察し、コピーし、でも体のつくりが違うので完全にはコピーできず、新しいキャラクターとなって現れてくる。
それがとても愛らしいものだった。

キャラクターづくり:好きな動物

好きな動物は何か、それはどういう特徴か、その特徴に音を付け加えるとしたらどんなものか、という手順で新しいキャラクターを生まれさせる。
プレイヤーが愛しているもの、想像がしっかりつくものを「真似る」ことにより、ポジティブに演じることができるんだろうと思った。

印象深かったのは、デレクが進めている場をミチが止め、受講生に「これはWorkしているか」と訊いたこと。
受講生がゆるやかなYesの雰囲気を出したことで、積極的なYesではないと判断し、内容を変えるように提案したようだ。

キャラクターづくり:イビルボイス

そして、別のアプローチが始まる。
「イビルボイスを出せ」というディレクションの元、悪そうな声を出してみて、それを新しいキャラクターとして成長させる。
これもすんなりといかない場合があった。しかしデレクもミチも丁寧で優しく、そして力強いディレクションをしてプレイヤーを新しいステージに上げたように思う。

プレイヤーが新しいステージに行く一歩一歩を、ミチは低い声で「Good」と発した。
グウーッド、みたいな。
その声にあまりにも存在感があり、それだけで圧倒されてしまった。

残念ながら、時間切れでキャラクターづくりの出番は回ってこなかったが、それまでの時間や見ているだけでも相当に得るものがあった。

終わり。そしてヤキトリレストラン

円陣を組み、感想を1単語で全員が言った。Satisfied, Hot, Relaxなどの言葉が多かったように思う。私はsomething more、と2単語を言ってしまった。もっとやりたかったもの。
最初にやった「21」を再度トライ。「21」を言えたことが、今日1日での成長だったかなと思う。

解散後、みんなでヤキトリレストラン。
受講者と話し、楽しんだ。 その中で、「中野はワークショップを開いたりしないのか? 受講してみたい」と二人に言われた。なんというありがたいことだろうか。
先日、チームビルディング研修の見学したときも言われたので、企画しようと思った。

そして、レストランでデレク&ミチに質問できた。
「好きな動物」のときになぜあのタイミングで、そしてなぜ受講者を確認してから止めたのか。
「Workしていないと思ってから3カウントしてから止める。『あっ、ダメだ。ワン、トゥー、ストップ』という感じ。そして、自分だけがWorkしていないと思ってる可能性もあるので、受講者を確認した」とのことだった。
彼らの話の中で、特に覚えているキーワードは「sparkling」「permission」。
プレイヤーの目が輝いているかどうか、自分を出す許可を自分に出せているか、というのがポイントであるようだ。

2時間ほど話して、お開き。
ここもクレジットカードが使えたため、お金を借りずに済んだ。端末の故障でなかなかクレジットカードが通らないという悲しい感じだったけど。同じようにクレジットカード通らない女性客と話し、クレジットカードに関するライフハックみたいなものを教えてもらった。

受講してみて

体験としては棒のワークにもっとも影響受けた。この感覚。自分が引っ張ろうとしなくてよい。ただ居ればよい、そんなことを体感として覚えることができた。 そして、ヤキトリレストランでの会話も貴重だった。

始終、温かい空間だった。
デレク&ミチの場づくりと、集まった人たちのおかげだと思う。
まだまだ、「自分の目的は観察し、他人をサポートすることだ」などの素晴らしい言葉を心の底からは自分は言えない。自分の利益をまず確保したいからだ。でも今日は、そういう素晴らしい言葉を言える心理の、片鱗の端っこを感じ取れた気がする。

みなさんありがとうございました。

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