ただディテールを〜インプロシアター年間プログラム-Core2

Sep 14, 2021

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ステイホームを続け、外出の少ない日々。夏。 その中で夜、突発的に自転車に乗って走り出す。 感染リスクの高い、密になるところには行けない。 ひたすら、国道15号線を横浜方面へ。横浜を通り過ぎても走り続け、気づいたらここに居た。 その時の観覧車である。

、、、というのが事実に近い描写。 ストーリーがあっての写真。

反対に、この写真からストーリーを想像することもできる。

残業中のオフィス。 本当は定時に帰って、観たい芝居があった。 でももう開演時間は過ぎてしまった。 悲しくなり、仕事にも身が入らない。 外に出てみた。寒かった。とにかく歩いてみた。 赤信号で止まって、見上げた時に観覧車があった。

というのもいける。

最近、インプロシアターの年間プログラムを通して感じているのは、ディテール。 「こういう背景があるから、こういう事件が起こりそうで、だから次にこうなるだろうから、こういう背景を足して、、、」とか考えなくていいテクニックだと思う。 テクニックですらないかもしれない。

細かい人となりや物の形、思い出、関係性などをしっかり出していくことで、自然とストーリーが生まれてくる。 逆に、ストーリーを意識し始めると、場が死ぬ。嘘っぽくなる。 演劇なんだから虚構ではあるけど、嘘っぽいストーリーは見てるだけで辛いし、やってる方も辛い。

ほんと、ただ生きてればええのよ、、、という感じ。 生きて、目の前にあるものを共有して、感じたものを共有していけばストーリーは勝手に動いていく。

何度も何度もPlatformなりCROWなりという言葉で知識として知っていて、何度も何度も実践してきたことだけど、講座として集中して、しかも英語と日本語通訳というダブル言語で学ぶことで、より体に染み込んでいく気がする。

観覧車、というところだけ取ってきて、ディテールを話してみる。

地方の遊園地。高台にある観覧車。 私は昔、怖くて乗れなかった。高いところが怖いのだ。 妻と娘が乗って、楽しそうにしていた。もう10年前のことだ。 寒い日。11月の終わりごろ。ただ待つ私は寒くて、周りにも人は少なくて、トイレに行きたいけど待たないわけにもいかなくて、早く降りてこないかなと思っていた。 ようやく降りてきた娘は、「黄色い車が小さくて、ゆっくり動いてた」と言った。地上の車が遅く見えたんだと思う。 娘は今15歳。もう10年会ってない。また乗ったら、同じことを言うだろうか。違うことを言うだろうか。 早く降りてこなくて良かった。ずっと乗ってれば良かった。トイレに行けないけどそれでも良かった。

とか。 この「私」は次、その観覧車に乗るんだろう、そして黄色い車を探すんだろう、とか思う。 ここに、(おそらく)不倫の原因となった女性と一緒に居たりしたら、大きな要素になると思う。ぜんぜん違う話になると思う。

ストーリーは “bubbles up” するもので、必死に作り出すものではない、と最近思っている。


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