終演しました:らぶりーじゅ
Oct 13, 2024
終演しました。
もう2週間以上も経ってしまいました。すぐ振り返らないと忘れてしまうのに。
やりたいことをいくつか考えてショー当日を迎えました。やれたものもあるし、そうでないのもあるし。
結果的に、すごくいいショーができたと思ってます。私のハイライトとしては、15時回のジャンルインプロ(村上春樹風インプロ)と、19時回のインサイドアウト(カエルみたいな挙動をするストーカーの話)でした。
らぶりーじゅをやれているのは、すごく自分にとって大きい。もはや、「やりたいから」だけで演劇をやれてない。いや、やりたいんですが、生活の中で優先順位が高いものが多すぎて、気を緩めると演劇が隅の方に追いやられてしまうのです。それでも、なんとか食らいついていけるのは、「誰かのためになる」ということ。これは実際に誰かのためになっているとは限らないのが怖いところですが、たぶん、なんとか誰かのためになっていると思っています。
山形にこだわるというのは、縁としては、綺畸の後輩が山形でインプロをやりたいと言っているから、というのがきっかけです。きっかけをくれてうれしい。いまでもそのモチベーションはあるのですが、これまでに3回、山形に行って、そのすべてがインプロで、楽しい思い出です。いや本当に、これだけ楽しいと、逆に迷惑かけてるんじゃないか疑惑もあるのですが、山形での記憶は楽しいものばかりです。
私が楽しいというのもそうなんですが、主宰みきのんも言うように、現状、山形では「インプロをやりたい人がいても場を用意しづらい」というのがあるようで、それに対して貢献しようとしているのは、使命感を持ってやれます。私は自己肯定感というか自己有用感が低いんだろうと思いますが、自分が演劇をやること、誰かのサポートをすることに自信がないです。さらに、私が感じている貢献感と、相手が本当に受け取っているものは違うし。いや、逆にスゲェ受け取ってもらえてる可能性もあるので、そうだったらラッキーということで。
それぞれのステージを振り返ろうと思います。
<15時回>
よく覚えているのは村上春樹風インプロ。インプロシアター年間プログラムで一緒に学び、オンライン自主公演も一緒にやったひろきゅんがゲストで出てくれているので、村上春樹風インプロはやりたかった。見事にウケたし、楽しくやれたし、こうろくも入ってきてくれたのが楽しかった。切りどころとしては良かったとも思いつつ、こうろくを入れてもうちょっとやってみても面白かったかもしれない。けっこう、私はシーンを早めに切ってしまう方な気がしているが、もうちょっと先を見る勇気を持ってもいいのかもしれない。
能力者バトル、能力は「寿司ネタがすべて光り物になる」というコメディタッチなものだけど、誰かの孤独を救いたいという気持ちは自分で信じられた。
最後のロングフォームも印象深かった。危険な思想を持つ政治家の役が出来上がったのだが、自分の政策を自分で実行できない悔しさ、無力感を舞台上ですごく感じた。政治家の役だったから政策になったけど、他にも自分で決めたポリシーに悩まされるというのはよくあることだと思う。その時、悩みに悩み抜いた上でさらに高次のポリシーになるのか、矛盾を抱えたまま苦しみ続けるのか、見なかったことにするのか、いろんな道があると思う。本番の舞台上ということもあって、高次のポリシーを目指すことができた。でも何も思いつかず、苦しんだ。ステージが終わった後、「老けた」という意味のことを何度か言われたが、それぐらい悩んで消耗した。あと、実は話の動向を途中から見失っていた。そのことを、そのまま表現できればもっと良かったのかもしれない。勇気がまだまだ足りんなと思いつつも、すごくいい学びになった。
<19時回>
客席の笑いが止まらなかった印象がある。
いろんなシーンがあって、始終、楽しくやれました。
ハットゲームで始まり、ハットゲームで終わる、綺麗な構成だったと思う。
ペーパーを引いて、すぐ言わず、エンダウメントとして持ち続けるというのは初めての試みだったが、ゲーム性、かけひきが出てきていいなと思う。複数人から「これ自分もやってみたいから、やるね」と言われた。いいゲームを開発できた。
インサイドアウトからロングフォームまで、ひとつのキャラクターを作った。一生懸命な最低の男ができた。そう、こういうのがやりたかった。キメ台詞「俺に触んなよ! 俺キモいんだよ!」が生まれた。最後のロングフォームで、弱く、かつ覇気を持って台詞を紡げた。
これまでのインプロ公演で、もっともキャラクターが一貫した公演だったんじゃないか。みゆきさんの幸せがあればそれでよくて、自分はどれだけ不幸になろうともかまわない。しかも、自分がいなくなったほうがいいんじゃないかともならない。幸せなみゆきさんを見ていたい。それだけの人。
ペーパーを使い切ったのもよかった。
そして、ゲストへの感謝を。まずは15時公演。
みずき、駒場の後輩。私にとって、東京での芝居の原点は、やはり駒場。駒場での楽しさをずっと味わっていたい、という気持ちはどこかにずっとある。駒場も大変だったけど、すごく青春していた。それに、駒場で得た役者・スタッフのスキルがずっと役立っているので、いい教育を受けたんだなあと思う。その原点を共有できる人が来てくれたのは本当にうれしい。インプロが初めてということで、しっかり時間を取って稽古したいと言ってくれた。公演が二つも三つも重なっている中、時間をしっかり作って稽古に来てくれた。芝居は日頃の行いが出ると思う。インプロは特にそうだなと思う。人柄も、真摯さも。マジでいい人なんだなと思わされる。インプロ初めてだったらシーンに入りづらいものだと思うけど、バシバシ入ってくれた。勇気がある。もっともっと遊びたかった。また遊びましょう。
ひろきゅん、古い友人。同じところでワークショップを長期間受けていた。トータルで2年ぐらいになるんじゃないだろうか。クラスメイトみたいな人。インプロにかける時間がまったく違うので遠くに行っちゃったなあと思ってる。が、舞台上にいると、懐かしいやら楽しいやら。稽古から、共演してるのに笑いが止まらないという。完全にペースをつかまれているのである。俺は共演者なんだぞ、観客じゃないんだぞと思うけど、やっぱりおもしろいものはおもしろい。お客様への開き方、ゲストなのにホスト感のあるふるまい。誰かのせいにせず、自分が必ずおもしろい空間を作るという矜持が見えました。インプロと関係ないけど、いつか料理対決をしたいと思いました。
次は夜の回。
はらでぃー。ゲストだけど、私よりもらぶりーじゅな人。山形に長期在住し、主宰みきのんに次ぐ山形ホームな人。前回からの連続参加。お客様に良いものを届け、楽しめるものを必ず提供する人だなと思いました。手放しで笑えるようなもの、前提知識なく楽しめるもの、そういう明るさを感じる。エンターテイナーってこういう人のことを言うんだろうなと思います。お客様がわずかでも不快にならないように立ちまわる姿はほんと尊敬します。私がお客様との会話に集中しちゃってて周りが見えず、役割を忘れてた時もスッ、と。ほんとにスッ、と私の役割を担ってくれた。ほんと頼りになります。頼りにしちゃいけないんだろうけど、頼りになります。山形公演もよろしく!
そしてじゅんき、昼・夜と両方出てもらいました。私にとっては師匠のような人ですが、今回は私がホスト側。なんとかホスト側としてがんばろうとしましたが、まだまだだったかなと思います。結局、師匠に頼っちゃった感はある。まあ、がんばろうとした時点で自分でナイスだと思うので、ヨシとする。じゅんきは、めまいのするような遊びを放り込んでくれるからすごいなと思う。ロジェ・カイヨワの遊びの4つの分類の中の「イリンクス(めまいやスリル)」を放り込んでくれる、すごく希少な人だなと思います。最近ロジェ・カイヨワの話を聞いて、イリンクスの概念を知って、じゅんきが思い浮かびました。2割遊べて、8割頼った感があるので、五分にできるといいな。
らぶりーじゅメンバーにも言おう。
ベルさん、毎回、完全な安定感のあるバックアップをありがとうございます。私が初めてインプロを学んだところでの大先輩。大先輩すぎて会ったことがない。ここでいっしょにやれてうれしいです。横浜エリアでなんかやるとき、声かけさせてください。
ひろせ、常にポジティブでいてくれてありがとう。目の前のこと、運営でのあれこれ、すべてに必ず反応して貢献するというのがすごい。無視しない。好きなことに迷いがない。ショーで私をちゃんと使ってくれる。もっとおもしろい反応ができるように、これからもがんばるわ!
こうろく、必ずおもしろいものを作ってくれてありがとう。ひろきゅんと同じぐらい古いつきあいだけど、ぜんぜん関わることがなくて、山形支援の活動でしょっちゅう会うようになって、本当に楽しい。インプロの精神、技術の面で本当に頼りにしている。
みきのん、この団体を作ってくれて、俺を入れてくれてありがとう。山形に行こうぜ、という話をひろせ・こうろくとやって本当によかったと思う。たぶん山形で活動する姿を見て、俺をメンバーにしてくれたんだと思う。団体運営も稽古も本番も、ぜんぶ一手に引き受けてもらってるので、少しでも引き剥がせるようがんばります。ステージ上での正当化とかストーリーのPlatformの作り方とか、ほんとすごいなと思います。安心して一緒に舞台上にいられる。かと思えば、最高にチャーミングなところも見せてくれるし。アルパカとか。
私信のような記事になりましたが、こういう団体です。私は楽しく、かつ多少はヒリヒリしながらやってるし、周りはいいやつばかりだし、それで地方の、日本の演劇業界・インプロ業界に少しでも貢献できそうで、本当にありがたいことです。が、演劇公演だけだとそもそも儲けづらい上に地方支援ということで財政的には非常に厳しいものがあります。もし活動主旨にご賛同いただけるならば、中野を応援いただけるのであれば、クラウドファンディングにひとつご支援をお願いいたします。その際、コメントに「中野がんばれよ!」などといただけると励みになります。どうぞよろしくお願いします。今後もがんばります。
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