視聴:Race

Dec 10, 2020

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(画像は広報画像より転用)

インプロカンパニーPlatform第18回公演「Race」の配信を視聴した。初日、リアルタイムで。

今回は無観客公演・配信という形態。

演劇配信を視聴していて画面の前でゲラゲラ笑ったのは初めてかもしれない。

感想をメモしておく。このブログだいたいそうだが、自分のためのメモなので長いし推敲されてないです。すいません。

ネタバレ注意、ではあるが、即興なのでネタバレはあまり気にしなくてよいはずだ。(もしまずかったら指摘してください。本ページ下部にお問い合わせフォームあります)

仕組みについて

公式サイトから画像を転載するが、こういうこと↓。

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配信では解説動画やオープニング動画のインサートで、非常に分かりやすく解説されている。動画もかっこいいし。

12人がトーナメント形式で頂点を競う。負けた方は勝った方のひとつ下に配置される。2回戦を戦ったところで4人のチームが3つになり、そこで決勝をやって、勝ちチームが1位~4位の序列を確保する。台本がないので、だれが勝つか、演じてみないとわからない。ということで、主役がいない。即興群像劇。誰かひとりに感情移入させるというよりは、全体的に起こっていることを興味深く観せていく。

序列を気にしている人たちが、序列の入れ替えに対して真剣になるのはよく分かる。一生懸命この「Race」に参加するという動機になる。

誰一人欠けることなくゴールしなければならない、ということだったが、誰かが欠けそうになる展開もあるのだろうか? 1位になれないなら自分を含め全員死ぬことも覚悟する、みたいな展開も期待できると思った。お互い、序列はあるが仲は良さそうなので、そこまでにはならないのかな。

あと、インプロならではの観客参加について。オフラインであればお題を紙で渡したり、直接聞かれたりする。今回は視聴人数によって対戦の組み合わせが変わる。組み合わせはトランプで決定される。そのカードを何回シャッフルするかを視聴人数によって決定する。

配信について

配信はどこでも観れるという利点がある。アーカイブが残るならいつでも観れる。しかし、その視聴環境をバッチリ確保するというのは非常に困難だなと思う。家族、近隣の生活音でだいぶ没入感は減る。それでも今回、画面の前でゲラゲラ笑えたのはよかった。私がインプロ好きなこともそうだろうが、出演者が混乱しつつもトライして(石巻さんとか)、それに対して冷静にストーリーに引き戻す人もいて(住吉さんとか)、ストーリーというか舞台上でのドラマがエキサイティングだったからだなと思う。

照明は、かなり勝手が違いそうだなと思った。劇場での見え方と配信の見え方は違うだろう。劇場での演者に最高の影響を与えつつ、配信できれいに見せるというのは、両立しづらいと予想できる。(自分も動画を撮影しているとき、きれいに撮ろうとすると眩しい)

この時期、配信があるというのは本当にありがたい。私が外出することによって公共の場の人口密度が上がってしまい、私を含むほかの人の感染リスクを上げてしまう。対策にも手間がかかるし。

芝居について

Platform(団体名でなく、インプロ用語として使ってます)ができて、その可能性の円の中にある出来事がキャラクターのパーソナルな感情により起こっていると心地よく観れる。Platform(こちらは団体名)では「コンセプトインプロ」ということであらかじめ役や、ベースの関係性が決まっている状態でこれを行う。なので、台本芝居と同様「演じる側は知っているが観客は知らない」設定が起こりやすい。しかし、さすがプロ集団。出来事・アクションではなく心のやりとりにすることで、その背景を推し量ることができ、分厚い情報量のシーンが連続する。さすがだなと思う。(出来事・アクションだけだと設定資料集的なものを読み込んでもついていけるかどうか、というところだろう)

主人公一人を深めていける時間はない。わずかな時間でシーンを作り、ドラマを起こし、ストーリーを進めなければならない。いつも以上に難易度の高いことをやっていると感じた。

印象的だったのは、上述した石巻さんと住吉さんのシーン。グダグダ(と言ったら悪いが)になっている石巻さんを見てて必死さも混乱も伝わってきてエキサイティングだった。ただ、それだけだとただの混乱で終わってしまって興味深さが減ってしまうが、住吉さんがその混乱の情報量が途切れるギリギリのところで次のストーリーにつなげていった。斉藤さんもポロっと補足のセリフを入れたりして。助け合いだなあと思った。観ててこんなことをつぶやいた。

こんなセリフも本番中に出てくるし。

また、いいなと思ったのは池田さんと青木さんのシーン。静かなシーンだった。お互いがお互いをうらやましく思う、それを素直に伝えるという、人間臭いしいい人たちなんだろうなと思わせるシーンだった。本当に素直なやりとり。大きな展開が起こるわけでもない。でもこれが興味深いということなんだろうな。

住吉さん、戸草内さんのシーンもスゲェと思った。どちらも物語をバキッと前に進めるための行動を起こしていて、それが合致していなくて、でも統合されていく。唸った。

やっぱり、即興なので、何の乱れもなくストーリーが進むことはない。

この動き出す瞬間が気持ちいいんだな。

あと石戸さんの「乙女心でぶつかってこい!」というセリフ。乙女心ってそういうテンションだっけ!? というミスマッチで可笑しみがあってよかった。これも、ギリギリのところで生まれたセリフ。セリフ単体のおもしろさというよりは、これがひねり出される瞬間が美しい。

エネルギーで押し切る感じもしたが、これは力押しというより、思考の束縛から逃れるためのエネルギーだったんだと思う。

出店さんがよくわからないことを言っていた。よくわからないのに何かおもしろかった。きれいにオチているわけでもなく、何か際立ったことを言っているわけでもない。わからないともどかしいことが多いが、彼女のやつはなぜかおもしろい。自信があるからか? いや、大してないようにも見える。グダグダにならない意味不明はいい。不思議さんのステータス急変がおもしろかった。会原さんを自分のポジションに入れて自分をガッと落とした瞬間が。

MCの声がいい。いいショーが始まるんだ、と思わせてくれる。そして、当たり前だがMCも即興。

美人がマジ美人だった。衣装? 色気?

村山さんのメガネ外させるのがエロかった。外させるのが? 外した村川さんがエロかった? うん、そうだな。ともかくエロかった。

植野さんはプレイヤーの意識をやわらかく誘導して物語の推進力にしてたように見えた。自分が引っ張る、力強く後押しするというよりはやわらかい誘導だったように思う。インプロしている植野さんはやわらかいな。

早さきさんが出てきた時点で質感が激変する。役どころもそうだが、なんだろう、あの舞台上での注目を集める感じは。早さきさんが出てきてからは群像劇の様相はガラッと変わって、早さきさんと揺れる会原さんのストーリーになる。その後の解決社長的な全体感も含めて、早さきさんが「センター」だった。存在感、とちょっと違うんだよな。特異点、の方が表現が近い気がする。

その他

インプロはおもしろい。このおもしろさをもっと広めていきたい。余計なお世話なんだろうけど、インプロの技術や精神は人類をオモローに幸せにしていけると思っている。今回視聴して、再認識した。やることは変わらない。もっとおもしろいものを作る。もっとおもしろい体験の場を作る。その力をもらった。


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