セカンドサークル
Jan 21, 2019
「セカンドサークル」観た。@荻窪 i Rego Garage.
最後感動した。
なんだろうね、即興で筋書きがないのに、水戸黄門の印籠が出て「よっ、待ってました!」みたいな気分になった。
感想を書き留めます。
小屋は荻窪駅南口から3分ぐらい。入り口わかりにくい。2階。
入るとバーカウンターと平舞台と客席と、後ろの棚にはボードゲームがたくさん。子供にやらせたい。
プレイヤーは4名。
家という場所を事前設定。
客からは4名の家族の役割と、その性格を募集する。
家族は、姉(のんびり)、弟(ひねくれている)、血の繋がりのない誰か(後に長男とわかる、いやらしい)、父(穏やか)。
そして最初に出演する2名(姉、弟)を客の拍手によって決める。
これで60分(途中休憩5分)やるらしい。
序盤、勉強する弟(ケンジ、高校一年生)とお笑いを観る姉(さくら、高校3年生)。
そこに帰宅する長男(テツヤ、会社員)。
3兄弟の日常が描かれる。
正直、ここはそんなにおもしろくなかった。
関係性は一瞬で分かって、性格も分かった。日常における情報は十分に出揃ったのに、日常のFunnyなやりとりのバリエーションが表現される。
会場からは笑い声が絶えなかったんだけど、私はやべえ、このノリずっと続いたら耐えられんと思っていた。
長男が長女を遊びに誘ってたので、長男 Loves 長女なのかな、とは思った。
そこに帰宅する父。
何やら神妙な面持ちで、全員をリビングに集める。
そして、勤め先の会計事務所で退職勧告に遭ったことを告げる。そして退職する意思を明らかにする。
ここで一気にストーリーが締まった。
この家族の経済的インパクトによって、全員が覚醒した。
ここからはもう、興味深いシーンの連続。
長男と長女のデートシーン、「血の繋がりが無かったらどうする?」という長男。回りくどさが、また真実味がある。
父が、長男が血の繋がりのないことに気づいたのではないか、と思い長男を問い詰める。そのシーンを長女が見る。秘密の暴露である。観ている側としては超興奮である。
長男と長女の会話シーン。長男は「好きだよ」と迫る。なんと軽薄で、それしかない必死さのセリフだろうか。これしか言えない長男と、自分(中野直重)の中の軽薄さを殴りたくなる。ぐお。
そして長男は「血の繋がりがないことをお前に知って欲しくなかったんだ。これは想定外なんだ」と何やら弁明する。
ここで長女が、デートのときに「血の繋がりがなかったらどうする?」なんて訊くのは気づいて欲しかったからなんじゃないのか、と指摘する。
そうだよねーーーー!
もう大興奮である。
どこで休憩を取ったんだか忘れたが、休憩。5分。
休憩後、作品のタイトルを客から募集する。「家族とは(だったっけな)」「好きなもの」が出た。
あと、また最初のシーンに出る二人を指定。長男と次男。
またリビング。
長男はまた、回りくどく次男に状況説明をしようとする。的を得ない。ロミオとジュリエットなんだこの状況は、とか言ってる。意味がわからない。
そこに長女がリビングに来るが、明らかに様子が変。
父の仕事は見つからない。
次男は父を案じる。そこに深刻さはない。きっとどうにかなると思っている。父への信頼がある。(おれもそんなお父さんになりたい)
ラスト付近で次男と長男のケンカが始まるのだが、これがすばらしい。
父がまず「ビールを持ってきてくれ。俺とテツヤの二人分」と言う。
腹を割って話そうという気概が見て取れる。
次男はまだ血の繋がり云々は知らないので、まごつくが、どうやらそうらしいと気づき、「ビール飲んでる場合かよ!」と叫ぶ。
そうだよねーーーー!
思わず拍手をしてしまった。誰もしてなかったけど。迷惑。すんません。
結局は長男は、父の勤め先の会計の先生の子であるということが明かされるのだが、次男と長男はどうでもいいことでケンカをする。
この正直さこそが、近しい関係、家族だろと言わんばかりに。
明らかにわざとやってる。
それぐらい深刻な状況なのである。
深刻である、という演技をテンプレート的に演じても深刻であるという説明にはなるが深刻さは感じ取れない。
この芝居では、深刻であった。
即興という性質も助けとなってこうなったのだろうが、リアルな深刻さが舞台上にバッチリ現れるというのはカタルシスがあった。
おもしろかった。勉強になった。
自分もこれを参考に、リアルを舞台上に表せるように。
もちろん、工学的に実学的に、お客様に価値を提供できるように。
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